普賢・佳人 (講談社文芸文庫)のレビュー
素のままのメタ視点
こういった表現が適さないと感じる方もいるとは思うが、私はメタ小説としての展開に唸った。というのも一冊を通して全体的に、世界を「小説」という形式に描いてく際に、石川もその自身の文章を小説として読んでしまうような悶々とした雰囲気がある。どう書くべきか、どう描くべきかを悩んでいる石川自身の姿がさらに「小説」として覆いかぶさるように描き込まれ、その生っぽさが読み手である私とおなじ平面上に感じられ、奇妙な波に翻弄された。
煩悶する世界
文は長く、重いが凄烈さもあり、きれもある。読めば読んだだけ味が出る作品とは、こんな作品であろう。もうすこし、熟成したあとで、読み返してみたい本である。「佳人」、「貧窮問答」、「葦手」、「普賢」の四編。初期の作品のようである。どれにも、怠惰で、好奇心もあるが、小心な著者が、悩み、のたうつ感じが出ていてよい。後期の作品も呼んでみたいところである。
初期名作集
石川淳の芥川賞受賞となった「普賢」収録の講談社文芸文庫の作品集。石川淳といえば、文壇に於いて無視することは不可避なほどに影響力のあった人であるが、実際の彼の読者人口は少なく、未だこの作品を読んだことがないという人は多い。それは石川自身が「自分の読者は2000人」という発言からも伺える。とはいえ、間違いなく日本の文学史に名を残す名作であり、絶対に読まれることをお勧めする。
何といっても、初期のこの所謂「饒舌体」というのが、好きだ。濃密で長い文体であるが、それでも全体がだらけない彼の凄みが満ち溢れている。東西に通じた和漢洋の知識というのも、読めば尊敬の念さえ称えたくなるほどの素晴らしいもので、まさに「これこそが小説だろ」と言わんばかりに圧倒的な魅力だ。
何といっても、初期のこの所謂「饒舌体」というのが、好きだ。濃密で長い文体であるが、それでも全体がだらけない彼の凄みが満ち溢れている。東西に通じた和漢洋の知識というのも、読めば尊敬の念さえ称えたくなるほどの素晴らしいもので、まさに「これこそが小説だろ」と言わんばかりに圧倒的な魅力だ。
本当に名作ですよ、これは。是非ともここから石川淳を読み、そして他の珠玉の作品群に大きく手を広げてみてください。きっと今まで体験したことのない読書体験があなたを待ってます。
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この文芸文庫の各書の解説も集合させて、続編を「各論」の形でつくってもよいかも知れません。